ガラケー生産終了~ガラケー(ガラホ)の未来~
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ガラケーの販売台数が増加傾向にあるようです。
昨年のスマホの販売台数は、2,770万台(5.3%減)で2年連続で減少。ガラケーの販売台数は1,058万台(5.7%増)で、2007年以来7年ぶりに前年を上回った。(MM総研)
どうやらガラケーユーザーの大型買い替えサイクルに当たったことが影響したとの見方もあるが、それでも今だに大きな需要があることが分かります。
そんな中、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
パナソニックなど日本の携帯端末メーカーが独自の基本ソフト(OS)を載せた従来型携帯電話、通称「ガラケー」の生産を2017年以降に中止する。
スマートフォン(スマホ)の普及が進み、ほぼ日本だけで通用する従来型携帯は開発が重荷になっていた。 コスト削減のため、開発する全端末のOSをスマホの標準である米グーグルのアンドロイドに統一する。日本がかつてけん引した従来型携帯の基幹技術がその役割を終える。
スマホが主にタッチパネル式の画面を搭載し、様々なアプリ(応用ソフト)を取り込んで機能を拡充して使うのに対し、従来型携帯は通話やメールなどの機能に重点を置き、 OSなど基幹技術を端末メーカーと通信各社が共同開発してきた。
今回、メーカーは独自OSの携帯機種の生産を中止する。ただ、折り畳み式やボタンが付いている形状は中高年を中心に根強い人気があるため、
外見や操作性が従来風の端末の生産は続けるが、実態は従来型ではなくアンドロイド機種となる。NTTドコモの「iモード」などのサービスは当面維持する。
NECは現在、ドコモに従来型機種を供給しているが、16年3月に新規の開発をやめ、17年3月には生産も終える。既にスマホ事業も13年に中止しており、 すべての携帯電話端末事業から撤退する。販売済みの製品は当面修理を受け付ける。
富士通やシャープ、パナソニックなどの端末メーカーも相次ぎ、端末のOSをアンドロイドに切り替える。 世界規模でスマホのシェアが高まるなか、従来型専用のOSや半導体を開発する意味合いが薄れたと判断。スマホ技術の全面採用で新製品開発コストを減らす狙いもある。
現在でも中高年を中心にガラケー使用者の40%が、スマホへの乗り換えを考えていない状況だと言いますが、どうやらその願いは風前の灯火となっています。
一定の需要があるものの、キャリアがガラケーを切り捨てにかかる理由は何なのか?何が問題なのか?今後どう変わるのか?について、もう少し掘り下げてみましょう。
原因と背景
利益の確保
キャリアの生命線とも言える、ユーザーひとり当たりの月間平均使用料(ARPU)。
過去にキャリアは音声通話の落ち込みにより、下落が止まらなかったARPUに歯止めをかけるべく、割高な定額通信量の導入を無理やり推し進めた経緯があります。
これ以上の増加が見込めないスマホユーザーのARPU、また激化するMVNOとの競争の中、増え続ける通信量に対する設備投資費用を捻出する為に、キャリアにとって比較的ARPUの低いガラケーユーザーがターゲットにされるのは、必然的な流れなのでしょう。
維持コスト削減
ガラパゴスと揶揄される日本独自のiモードなどの通信インフラ維持には、莫大な費用がかかります。そうした設備の維持費用を削減したいとの意向も見て取れます。
製造メーカーの供給能力
日本の大手携帯組立メーカーは米・韓・中のメーカーに押され、次々に撤退や事業縮小を余儀なくされています。こうした中、世界共通で販売をかけられるグローバルモデルへのシフトが進み、日本特有のガラパゴス携帯は、真っ先に切り捨てられる傾向にあります。
こうした大手の戦略を受けて、さらに深刻な状況に置かれているのが、中小の下請メーカーけです。市場の縮小を受け、重要な基幹部品を作るチップセットメーカーなどが相次いで撤退。このままでは大手組立メーカーが、数年後にはガラケーを作りたくても作れない状況になると懸念されています。
ドコモの加藤薫社長は「ガラケーの基幹ソフトであるLinuxやSymbian OSを搭載したフィーチャーフォン(ガラケー)は今後、対応する部品の調達が困難になる見通しだ。」
と語っています。
原因と背景
今後の展望
「ガラケー」に代わる存在として「ガラホ」が出現しました。
「ガラホ」とは ガラケー + スマホ をつなぎ合わせた造語です。
LinuxやSymbian OSの代わりにスマホ同様にandroid OSなどを搭載した、謂わば形はガラケー、中身はスマホといった代物です。
OSに合わせキャリアも「ガラホ」でLINEが簡単に使えるようにしたり、アプリの拡充、PC向けサイトの閲覧可能など、従来のガラケーユーザーが簡単にネット環境を堪能できるようなサービスに力を入れています。
今後は「ガラケー」から「ガラホ」への流れが加速するでしょう。そうなれば近い将来「ガラケー」ユーザーは、「スマホ」か「ガラホ」の乗り換えかを余儀なくされるでしょう。
料金
ガラホの料金体系(税抜き)
基本料金 2,700円(かけ放題)
データ通信量 3,500円(2GB)~
ネット接続料 300円
割引 -1,000円(最大4年)
合計 5,400円前後
ガラケーの料金体系(税抜き)
基本料金 980円
データ通信量(ミニマム定額) 300円~
合計1,580円前後
携帯電話の形は同じでも、料金に大きな差が出そうです。
使い勝手
「ガラケー」と「スマホ」の大きな違いは、ネットの使い方です。多くの「スマホ」がよりネットを使いやすくする為に、大画面化への道を進みました。
「ガラホ」でネットを使う際の使いやすさを求めてキャリアも取り組みには力を入れるでしょうが、所詮は限界があります。
まとめ
ガラケーの魅力は何と言っても使いやすさと料金の安さ。携帯電話は「電話するもの」と考えているユーザーもまだまだ多いはず。
料金に見合うだけのアクティブな使い方を念頭に置いた人間は、そもそも「ガラケー」タイプの携帯を使用しません。
「ガラケー」タイプの携帯を選ぶユーザーにとっては「今よりも使いにくく、料金が上がる」などという状況は、到底受け入れられるものではないでしょう。
彼らからすればそれは単なる「押し付け」でしかありません。
彼らが通信機能をガンガン使うとは、到底考えられません。
もしキャリアの都合で「ガラホ」を彼らに押し付けるならば、せめて料金面では現状と然程変わらないプランを用意しなければ、MVNOへの良い橋渡しにしかならないと思うのですが、如何でしょうか。