ウイルス感染させ「身代金」要求 PC乗っ取り被害急増
【スポンサーリンク】
パソコンを操作不能にし、身代金を要求する「ランサムウェア」が急増している。
ランダムにばらまかれるメールにウィルスが仕込まれていることが多く、身に覚えがないメールは開かないことを徹底する必要がある。
企業や個人のパソコンが乗っ取られて操作できなくなり、画面に「復元してほしければ身代金を支払え」――。「ランサム(身代金)ウェア」と呼ばれるウイルスによる被害が急増している。
被害に遭うと回復は困難で、セキュリティー会社は「手口が巧妙化している」と警鐘を鳴らす。
ランサムウェアは、ウイルスが埋め込まれたサイトを閲覧したり、ウイルスが添付されたメールを開いたりすることで感染する。
感染したパソコンの画面に「お使いのパソコンをロックしました」などのメッセージが表示され、ネット接続や保存ファイルを開くなど通常の操作ができなくなる。
「ロックを解除するには、○万円を(仮想通貨で)支払わなければならない」と金額を入力するページに進むよう促される。
大手セキュリティー会社のシマンテックは、こうした手口で4万~30万円が要求される事例を複数確認した。
シマンテックの浜田譲治・主任研究員によると、2012年ごろからインターネットの闇サイトなどで多言語のランサムウェアを作成するソフトが出回り、被害が爆発的に拡大。
同社が14年に確認した攻撃は世界で880万件に上り、前年の2倍以上に急増した。
身代金を要求するメッセージは当初、ロシア語や英語だったが、最近は日本語で要求する例もあり、スマートフォンも狙われるようになった。
浜田主任研究員は「手口は巧妙になっている。(ロックされると)自力で復元するのはほぼ不可能だ」と話す。たとえ身代金を支払っても、復元されるかは分からない。
独立行政法人「情報処理推進機構」(IPA)に寄せられた被害相談は、13年の22件から14年は35件、今年は7月末現在で56件と増え続けている。IPAは「日本語での表示も出始め、国内での流行が懸念される」としている。
大手セキュリティー会社のトレンドマイクロによると、個人のパソコン以外に企業を狙った攻撃も増えている。
社内ネットワークに入り込んで業務用の書類などを使えなくすることで身代金を取りやすくする狙いがあると同社はみている。